《MUMEI》
また
そうこうしているうちに、あたしの家に到着。


「―じゃあ、ばいばい!!」

「おう♪」

自転車から降り、
別れの言葉を交わして、梶野の背中を見送る。


ふと、腕に抱かれたぬいぐるみの存在を思い出す。


「あ!梶野!!」


慌てて呼び止めると、
梶野はブレ-キをかけて振り返った。


「これ、ありがと!!
―…ランプの妖精さん!!」


ぬいぐるみを持ち上げて、笑いながらそう言うと、


「ご主人様のお望みとあらば♪」


恭しくお辞儀するふりをしながら梶野が答えた。


「ふふ…またね!!」

「またな!!」


自転車をこぐ梶野の背中を見送りながら、
胸に抱いたぬいぐるみを、

両手でぎゅっと抱きしめた。

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