《MUMEI》
加藤視点
――今日は裕斗と遊ぶ約束をしていたのに急用とやらでドタキャンくってしまった。





仕方なくもう一人約束していた奴…隆志とスタバでコーヒーなんか飲んでいたりする。



隆志はさっきからふてくされて煙草吹かしっぱなし。




俺は外じゃ吸えないから不快でならない。




「つか時間勿体無いし移動しね?カラオケでも行こうよ」




「は?加藤と二人で?…は、行くかよ、もう俺帰るし」






隆志は灰皿に煙草を擦りつけた。




まだ入店して30分とたたないのに灰皿は吸い殻でいっぱいだ。

「もう態度悪すぎ!お前何なのさ一体、
裕斗が来ない位でめっちゃ変じゃね?」

「そんなんじゃねーし、つか加藤だってイライラしてね?ばっかみて」




「イライラすんの当たり前じゃん、外じゃ煙草吸えねーし…つか隆志だってまだ未成年じゃん、やらかしに写メ撮られて週刊誌に売られたって知んねーからな」






俺はレシートを見、財布を出す。
きっちりちょうど370円だした。



「いーよ、それ位奢ってやるし」




「ヤだね、あーもう今日の隆志嫌いだ!俺先に帰る!」



俺はバッグを掴み立ち上がる。

「…隆志、何か最近性格悪くね?女と別れてからイライラしっぱなしだしよー、
つかたまってんじゃねーの?そんなんで当たりくれられてこっちはめっちゃ堪んねーわ」




――ムカツキついでのただの捨て台詞のつもりだった。




立ち去ろうとした時…、バッグを掴まれた。

「なー、やっぱ分かる?」



「は?何が…」




隆志は俺を見上げ…今日…始めて笑った。
「俺めっちゃたまってんだけど、…助けてくんね?」


「…は?意味分かんねーし、つか何?昼間っからナンパに付き合えって言ってんの?」



俺なんかと違って世間に露出が高い隆志が昼間っからナンパしてたら、喫煙より叩かれそうだ。


つかこんな態度悪すぎ男とナンパな気分でもねーし…。

「は?、ナンパなんかすっかよ」



「じゃーなんだよ、打てる女呼べって言ってんのかよ」




すると隆志はクスクス笑いだした。
バッグを掴む手を何故か俺の腕に移動させ、するっと手を握ってきた。



「加藤で良いよ」


「……はあ?」

「…抱かせろよ」






前へ |次へ

作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ

携帯小説の
(C)無銘文庫