《MUMEI》

「先輩、痙攣じゃなくて、震えでしょう?」

「高遠も震えてるよ。」

フラれたのに平気なフリが上手い。

「……本来は俺、下なんです。……肩借りていいですか?出来れば熱い接吻付きで。」

「接吻抜きならいいよ。」

高遠が肩に顔を伏せる。乙矢のこと本気だったんだな……いつからだろ。






「ななお……!」

気が付いたときには既に高遠は吹っ飛んでた。

「立てオラぁ!」

「違うって七生、顔殴んな!高遠早く出て!」

七生を食い止め、高遠が外に出たことを確認する。

「なんで止めるの!アレに惚れたのか!」

「落ち着け馬鹿!」

半分も話聞いてない。手首を掴まれる。

「乱暴されたな……。痕ついてる。」

手首の痕を指で辿られた。口を付けようとした。

「駄目、人来る」

両手を隠した。

「高遠には許すのに……」

「許してないって……、妬くな……」

胸に顔を突っ伏した。

「言いたいことは高遠と付き合っている……とかじゃないよね?」

「バカヤロー!」

頭突きをかます。悲しくなってきた。涙出そうだ。

「あ、謝らないからな!」

「〜〜〜〜も、帰る。」

疲れた、こんな駆け引きみたいなこと。足元がぐらつく。

あの馬鹿、一生疑ってろ!

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