《MUMEI》 病死僕は急な腹の痛みに立っていられなくなった 路上で倒れた 誰かが救急車を呼んでくれた 僕は腹膜炎をおこし、病院に着いた時には手遅れだった そう言えば、ここ最近、良く腹痛を起こしていた ただの食べ過ぎだと思って市販の薬を飲んでいた 人間って若くても、こんな事で、あっさり死んでしまうんだと思った 道先案内人とやらが来て、僕がこれから行かなければならない所に連れて行ってくれるみたいだ 人事の様だけど そこには血の気のない人達の行列があった みんな北へ北へと歩いている 僕も、その行列に入った 川が見えて来た あれが有名な三途の川? あの川を渡れば僕も立派な幽霊なのだろうか? 腹は、もう痛くなかった 道先案内人は、決して振り返っては、いけないと僕に言っていた 列に入ったのだから、もう振り返れない と、言うよりも生き還れない 生きていた頃、良く聞いたのは三途の川を渡らなかった人の体験談だった 僕も渡らなければ、ひょっとして大丈夫なのかと思ったりもした この若さで親より先に死ぬなんて僕は何て親不孝者だと思った 僕は泣いた そして自分の死を受けとめた あの川の先には何が待っているのだろう 次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |