《MUMEI》 落ち込んだ気分のまま、 教室のドアを開けると、 「幸!!」 と、マキが駆け寄ってきた。 「…おはよ、マキ」 無理やりに笑顔を作って応えると、 「幸…なんかあった?? 今朝から幸と東郷君が付き合ってるって噂が……」 「…そんな…」 「それに、幸が東郷君と梶野、二股かけてるって噂も聞いた。 ―…もしかして、 東郷君のファンに、なんかされたんじゃない??」 「…あ…」 ―そうか、東郷君のファンの娘たち… ううん、勝手に疑っちゃダメだよ。 …自分の目で確かめるまでは。 「―…マキ」 「なに??何か心当たりあった?」 「あたし、自分で確かめるよ。 …だから、それまでなるべくあたしと関わらないようにして。」 「幸…??何言って…」 「マキに何かあったら、嫌だから…ね?」 「…わ、わかった。 でも、相手は何してくるかわかんないからね?? 気をつけて。 ―あたしも、幸に何かあったら嫌だからね!!」 「うん。ありがと」 …あたしは、 “あたしにできること” を、やらなくちゃいけない。 前へ |次へ |
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