《MUMEI》 ―卒業式―教室の中では式の前だと言うのに、声を上げて泣いてる人が何人か居た。 男子はそれを可哀相な物を見る様な目で見つめる。 男子いわく『泣くのはプライドが許さない』のだとか…。 教室のスピーカーがチャイムを鳴らし、三年生は廊下に整列し、体育館へ向かった。 ―いよいよ、中学校で過ごす最後の日が始まった。 校長先生の長い話も今日で最後…。いつもよりかなり短く感じた。 何度も練習した証書のもらい方‥大きな声なんて、出せない人の方が多かった。 卒業生は最後の合唱をした。 旅立つことを恐れずに進む、勇気を与えてくれる歌を。 ある一人が泣き出した。泣き声でも必死に歌う姿は、凛々しい物であった。 そして退場をする。 体育館を出ると、「うわぁん」と声を出して泣き出す人が居た。 それにつられて、必死に涙を堪えていた人達の目からも涙が溢れ出した。 『プライドが許さない』とか言っていた男子も、服の袖で目を覆いながら泣いていた。 このメンバーはもう二度と同じ教室で笑い合うことが出来ないと言う‥悲しみから。 三年二組の生徒たちは、先生に促されて、教室へ急いだ。 前へ |次へ |
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