《MUMEI》
ヒロイン登場
「ストーップ♪」


ノーテンキな声。


あたしは、恐る恐る目を開けた。


女の子の拳は、あたしの顔面に届くこと無く


―…梶野の掌に収められていた。


「…かじ、の??
なんで……」

「ヒーローは、遅れて登場すんだって☆
あ、ここ女子トイレだから、おれ今ヒロインか」


こんな時に、何言ってんだか…
呆れたのも束の間、


「お前、何女子トイレ入って来てんだよ!!」

「出てけよ!!カンケーねーだろ!!!」


5人組が、一斉に騒ぎ始めた。


「あのねえ…そんな汚い言葉遣い、
男のおれより男っぽいって」


梶野が呆れたように言う。


「は!?うぜえよ!!
―ってか、手え離せよ!!!」


ストレートの娘が、
手を振りほどこうと必死にもがく。


「…いやだ」


にっこり笑って梶野が答える。


「もう!!痛ッ…離して…
は・な・せ〜!!!」

「…じゃあ、約束して。
もう相原に変なことしない、って」

「…だから、うちらがやったって証拠…」

「―…わかんない??
別に、司に君たちのこと言ってもいいんだよ??」

「……ッッ!!」


途端に、女の子たちの顔が青ざめる。


「どうすんの?」

「…元はと言えば、あの女が…ッ!!」

「…それは、言っても良いってこと??」


梶野が笑顔のまま言う。



「も…もういいよ!!」



気づいたら、叫んでいた。

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