《MUMEI》 大変よくできました「…よかっ、たあ…」 ―あたしのやり方で、何とかできた… 本当は、怖くてしょうがなかった。 それでも立ち向かうことができたのは―… 梶野の言葉が、あたしに勇気をくれたから。 急に緊張の糸が解けたからか、 今まで堪えてきた涙が ふいに、ぼろぼろと溢れ出した。 「あ…あれ?? ごめ…いま、とめ…る…っ!?」 必死に涙を止めようとしていると、 ふいに、視界が遮られた。 頬に梶野のシャツが触れる。 ―あたしは、梶野に抱きしめられていた。 「…!!…か、かじ…!?」 梶野の声が、真上から降ってくる。 「大変よくできました」 優しい響きに、 驚きで引っ込みかけていた涙がまた溢れ出して、 あたしの視界を曇らせる。 梶野の掌が、あたしの頭を やさしく、優しく撫でた。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |