《MUMEI》
出会い
「秋菜ちゃん、今日は俺のことを想って…最後だから…」


「うん…分かったよ…」


そう言って私は男の腕の中に入った。


私は3週間前にこの男に買われた。


彼は彼女にフられたショックで何をしていいのか分からなくなり私を買った。

「秋菜ちゃん…こんな俺に3週間も付き合ってくれて、本当にありがとう……明日からはもう頑張るから……」


「うん…頑張って…応援してる」


彼は私がそう言うと優しく抱き上げて優しく笑った。













私は彼と別れ、公園のベンチに座っていた。


彼は…彼女と別れて泣いたのかな…?


感情を失した私には そんなこと分かるわけがない。


「君…そんなところで何してるの??」


誰??


振り向くとそこには深く帽子をかぶった1人の男がいた。


「別に何もしてない」


私が答えると彼は私の隣に座った。


「君さぁ…1人でこんなところにいて…暇?もしや…」

「今は暇。ってあなた…」


何か見たことある顔……。


あっ……………。


「芸能人のMASAKI………????」


「げっ!!!!!バレた!?」


「分かりやすい…」


「まぁバレたんなら仕方ない…俺ね、芸能活動に疲れたんだよね〜毎日スマイルつくって生活すんの嫌でさ…逃げて来ちゃったんだ…」


疲れた?

私にそんな感情どこにもない。

「君はどんな生活してる?」


……えっ……。


"人の欲望を満たす為に売り物になって生活してる"


"人の奴隷みたいなものになって生活してる"


言えるわけがない。


「言えないならいいけど〜名前くらいは教えて」


「……秋菜…」


「秋菜かぁ…俺は言わなくても分かると思うけど雅樹ね」














これがあなたとの出会い……。


この時は運命なんて全然、感じなかったのに……ね…。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫