《MUMEI》

気付くと俺は自分の部屋にいた。
結局俺は何も言えなかった。
電話で話しはじめた女教師の傍らを通り抜けて、走って、気付くと自分の薄暗い部屋にいた。

何やってんだ俺。

俺と彼女に横たわる壁から俺は背を向けた。
残り1週間。168時間。そんなもの、何の意味ももたない。
離れ離れになってしまう悲恋なんて、馬鹿馬鹿しすぎる。もっとお手軽でかわいい同級生の女にしておけば楽に決まっている。

忘れようとすればするほど忘れられず、鼻の奥がツンと痛くなった。
一度こぼれるととめどなく溢れる涙と鼻水が情けなくて、自分のふがいなさと不運さと、唐突な失恋に泣けた。

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