《MUMEI》
第2会議室
「…ここ」


そう言って東郷君が開いたドアのプレートには、


『第2会議室』


と、書かれていた。


「…ここって…」

「いいから。…取り敢えず入って」


促されるまま、
『第2会議室』へと足を踏み入れる。


「ここ、入っても大丈夫なの??」


心配になって訊くと、


「うん。ここ、だいぶ前から使われてないから…」


にっこりと笑って答える東郷君。


部屋を見渡してみると、
確かに、ずっと使われてないみたいで
部屋の隅には、机や椅子が積み上げられている。


「急にごめんね。
…さっきも言ったけど、
今日は相原さんに大事な話があって…」


ドアを背に、東郷君が口を開く。


「…ううん!
ちょうどあたしも、少し話したいことあったの!!」


―東郷君には、近いうちに話をするつもりだった。

東郷君の為に傷ついている女の子たちが、
たくさんいること…。


―…でも、東郷君があたしに話しって…??


「じゃあ、相原さんから話してくれるかな??」


微笑みながら言う東郷君。


いつもと変わらない笑顔…


の、はず


なの、






今日は何か違う―…



そんな気がした。

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