《MUMEI》
告白
「………え!?」


東郷君の言ってることが、
理解できない。


「あのとき、ボール投げたのは俺。
それから…これはあんまり言いたくなかったんだけど…
相原さんを庇って代わりに怪我したのは―…

………トモくんだよ」


「…………!!!」


声が、出ない。


なんで…


何、言ってるの…


「…知らなかった?
―…そうだよね、トモくんが言ったんだもん。
―『あたったのはおれだから、
司は気にしないでその子保健室に連れてけ』
―って。…一気に2人も庇ったんだ。優しいよね」

「…な、んで…」

「あ、あとさ、
トモくんの家って、東地区にあるって知ってた??」


―東地区…

あたしの家と、反対方向…!!


ぎこちなくかぶりを振ると、
東郷君は困ったように笑いながら言った。


「そっか、相原さんはトモくんの嘘に騙されてたんだね。」


―そんな…なんで??

梶野は、なんでそんな嘘……


なにがなんだかわからない。


頭の中が真っ白になる。



―カチリ。


鍵のかかる音がした。

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