《MUMEI》
波乱は終わらない
体育館のざわめきは式を中断にまで追い込んだ。
その式をの後、俺は教師にこっぴりと搾られた。
・・・俺、どちらかと言うと被害者じゃない?

不思議な事に元凶のはずの少女は、やって来なかった。

・・・理不尽だ。


「だはははは」
教室に戻ると、クラスメイトの慎二は腹を抱えて笑った。

「そんなに笑うなよ」

こんなことになるんだったら、俺も保健室で休んでおけばよかった。

廊下を歩いているだけで
『あの子よ、あの子』

なんて、誰が好き好んで後ろ指をさされなきゃいかんのだ。

「まぁまぁ、いいじゃねか。有名人気分になれて」

そんな気分にはなれん。
慎二は悪びれもせずに笑い続けた。

「それにしても、お前があの神倉家の令嬢のパートナーになるとはねぇ」
不意に真面目な顔になったかと思うと、
感慨深そうに言った。


あれは、パートナーになれと言っていたのか、
・・・・・・
・・・
俺には奴隷になれとしか聞こえなかったのだが。
・・・・
・・・
・・

「神倉って、誰?」

つまるところ、パートナーとか奴隷とか、なぜ俺なのかうんぬんより、

そこのところが一番の問題だ。

Who is she?
(彼女は誰?)


ガラッ


「奴隷いる?」
クラス中の視線を一身に集めた。

俺達も会話を止めそちらに目をやる。

大きく開かれたドアに立っていたのは、今まさに話していた

神倉なにがしさんだった

・・・って、やっぱりあれ奴隷だったんだ。

はぁー

クラスの視線が次に俺に集まる。

憐れみの目で俺を

見るなあぁぁぁーー



俺は引きずられて教室を後にした。


・・・

助けてくれぇぇぇ

俺の心の叫びは誰にも届かなかった。

最後に見た慎二は墓前にいるかのように合掌していた。


後で覚えてろよ。

生きてたらの話だけど。

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