《MUMEI》 プロジェクト成功者残された警備隊たちは、指示を仰ぐように空を見上げる。 ユウゴたち三人もつられるように頭上に目を向けた。 すると、先ほどからユウゴたちの様子を映していたカメラヘリとは別のヘリコプターが遠くからこちらへ近づいていた。 「……これで終わり、だよね?」 不安そうなユキナの声は、近づくヘリの音に掻き消された。 ヘリは校舎の真上まで来ると、その場でホバーリングを始めた。 キーンという耳障りなマイクの音が響く。 「ご苦労様でした。これをもって、第二十二回国民運動能力向上プロジェクトを終了いたします」 聞き覚えのある男の声がマイクから響き渡った。 おそらく、あの実行委員の実川とかいう男だ。 「第二十二回国民運動能力向上プロジェクト?……どこがだよ」 ユウゴは聞こえないとわかっていたが、思わず悪態をついた。 隣でユキナも頷いている。 サトシはすでに緊張が解けてしまったのか、半分意識を失っているようだった。 「今回のプロジェクト成功者は、鬼、二名。子、三名です」 「鬼も生き残った人いたんだね」 「まあ、最初に人数稼いで、あとはうまく隠れてたんだろうな。……問題は俺達がどうなるか、だけど」 ユウゴの言葉に答えるように、ヘリの声は続けた。 「さて、では警備隊の皆様。プロジェクト成功者の確保をお願い致します」 その声と同時に、警備隊はジャケットの下から手の平サイズの銃を取り出してユウゴたちを撃った。 つい、ヘリに気を取られていた三人にその攻撃を避けることができるわけもない。 ユウゴは腕にチクリと小さな痛みを感じた。 どうやらあの銃から発射されたのは弾丸ではないようだ。 何が撃ち込まれたのか確かめようと、ユウゴは腕に手を当てた。 しかし、突然の眠気に襲われ、そのまま意識を失ってしまった。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |