《MUMEI》

俺は握り絞めた手で口元をグッと拭った。




加藤は呼吸を乱しながら眼を瞑り、ぐったりとしている。





俺が脚の中に入り込み腰を進めると、加藤は薄く眼を開けた。




「お前には悪りーけど…俺もう…止まんないから…」





――すると加藤は…
何故か…、泣きながらだけど…少し笑った。




「うん…、分かってる……来いよ…」




加藤はそう言うと、俺の背中に腕を回し、きつく、力強く…しがみついてきた。



「痛くだけ…しないでよ…」




「うん……、力だけ…抜いてろ…」





さっき硬かった密部はすっかり柔らかくなっていて…

チュク…



「ンッ、…ンッ、ふぅぅ…、もっと、もっとゆっくり…、ああっ、はああっ」





先だけを少しだけ入れて…、戻してを何度も繰り返す。






加藤の甘い、熱い呼吸が俺の首筋にかかる。





俺はなんだか切なくて…堪らなくて…





「な、キスしていい?」





「隆志の…バカ…、
先にもっと…凄い事しといて、…つかいちいち聞くなよ…、ヒック…、何で…
何でキスしてくんないのかなって…バカヤロー…、キスしてよ…」






俺は少し上体を起こし加藤の顔を見る。




くしゃくしゃな泣き顔で…、俺と眼が合うなり、ギュッと瞼を閉じた。




加藤の少し長めの髪を撫でる。





目尻の涙を親指でなぞる様に拭うと、加藤は、んっと小さく声を洩らした。




――薄い唇を軽く塞ぐと、背中にあった腕が俺の首にぎこちなく移動した。






俺は一端離れ、角度をかえて…今度は深く塞ぐ。





加藤は俺の舌の動きにも素直に応えてきた。






だけど拙い舌使い…、ぎこちないしがみつき方。





ガチガチに緊張した躰…、上手く力が抜けない結合部…。





「力抜けって…」




俺は加藤をなだめる様、顔中にキスをする。



「はあぁ…ごめん…、分かんな…くるし…ンッ、口に…キスして…、キス…ンッ、ンッ…」





俺は再び唇を塞ぎ、そして腰をゆっくりと動かす。




少しづつしか受けいれられないそこ…、



一気に進めたくなる気持ちを抑えて加藤をきつく抱きしめる。





――それでも時間をかけてやっとやっと…




ひとつになって……。





「加藤…分かる?…お前の躰に…全部挿った……」



「分か…る…、ンッ…ふぅぅん…、たかし…、ごめ…ん……、」





加藤は俺の頬に…始めて加藤からキスしながら言ってきた。

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