《MUMEI》
地下の部屋
「なに…?…コレ…?」
晴香はしばらく穴を見つめていた。
瞬きをしても、目を擦っても穴は消えない。
「ホントにあるんだ。」

晴香は立ち上がり、ゴクリと唾を飲み込むと、一段目の階段に足を乗せた。
晴香の心臓は、内側から物凄い勢いで胸を叩いている。
(落ち着け‥落ち着け‥)
晴香は次の階段に足を乗せながら深呼吸をした。

晴香は次々と足を階段に乗せ、下へ進んでいく。地下へ進めば進ほど、暗さが増してくる。

十段ほど下りると、地下に明かりの灯る部屋が見えて来た。
晴香は又深呼吸をし、足音をたてずに明かりの灯る部屋へ近づいた。
晴香は身を屈め、ドアに付いている曇りガラスから中を伺ったが、残念なことに何も見えない。
晴香は左手で口を塞ぎ、右手でドアノブをゆっくり回し、出来た隙間から中を伺った。
中は、十畳ほどの広さがあり、中央にあるテーブルにコーヒーカップが置いてあるのが見える。

晴香は目だけで部屋を見回してみる。
テレビに小型冷蔵庫、その上に電子レンジ、調理台も見える‥洗濯機に物干し竿まで!
(誰か住んでんの!?)
晴香が思うと、部屋の奥の扉から人が出て来て、テーブル近くのソファーに腰を下ろした。

晴香の口は再び顎が外れそうな勢いで開いた。

(‥‥いっ‥委員長ぉ!!??)

八神は呑気にコーヒーを啜った。

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