《MUMEI》
見つかった
(なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?)
晴香の頭は混乱していた。
晴香は胸に手をあて、深呼吸をする。
鼓動が少しおさまったのを確認すると、再び部屋を覗いた。

八神は相変わらずコーヒーを啜っていた。
晴香は状況を整理する。

ここは学校‥応接室の地下‥中に居るのは八神委員長‥部屋は何故か生活感が溢れている‥。

晴香が考え終わると、八神はコーヒーカップを流しの中に入れドアへ近づいて来た。
晴香は慌てて隠れる場所を探したが、階段からは一本の廊下しかなく、隠れる場所なんてない。
晴香はその場に縮こまり、息を殺し、目を閉じた。

―ガチャ
ドアが開いたが、八神の足音は一切聞こえない。
晴香はゆっくりと目を開けた。
「きゃぁ!!」
晴香は思わず声を上げた。
目の前に頬を引き攣らせながら笑っている、八神が居たからだ。

「君はこんなとこで何しているんだい?」
晴香の背中は変な汗でびしょびしょだった。
「いっ‥委員長こそ‥何をしているんですか?」
晴香はごまかす様に微笑んだ。
「見たのか?」
「………」
「見たのか?」
「………」
「見ただろ?」
「………」
晴香はひたすら黙秘したが、胸倉を掴まれて部屋の中へ引きずり込まれた。

八神は、晴香をソファーに無理矢理座らせた。

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