《MUMEI》
上下関係?
晴香は両膝に手を置いて俯いていた。
八神は晴香の前で仁王立ちをしている。微笑んだまままだ頬を引き攣らせている。

「あんなとこで何してたんだい?」
「いっ委員長こそっ!」
晴香は俯いたまま答えた。
八神は晴香の頬をぎゅーっと引っ張った。
「イタタタタッ痛い!痛いよ!八神!」
「なんだい?万年二位のくせして僕に刃向かう?」
八神はふんっと鼻を鳴らした。
八神と晴香は、テストで毎回前後という関係にあり、つまりとして、八神は学年一の秀才なのだ。

「うっうるさいわね!たかが二点しか変わらないでしょ?」
「その二点で僕は満点だ。わかるかな?この差」
八神はニヤリと口元を上げた。
晴香は毎回満点の八神に憧れて、風紀副委員長という面倒臭い役を引き受けた。
‥しかし‥とうの八神はイメージと掛け離れており、晴香はかなり後悔をしていた。

「僕より下の人間は、僕に従っていればいいんだよ」
八神の言葉に晴香は不敵な笑みを浮かべた。
「じゃあ‥ここからは、下部の逆襲劇ね‥」
「はぁ?」
八神が眉間に皺を寄せた。
晴香は八神と目を合わせ言った。
「真面目で優秀な風紀委員長が、こんな所に住んでるなんて広まったら‥フフフ」
八神は全身が凍り付くように冷えるのを感じた。

「ねぇ。委員長♪」
晴香の言葉が八神には悪魔の囁きに聞こえた。

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