《MUMEI》
形勢逆転?
「まっ待て‥後藤。なんでそんなに嬉しそうなんだ?」
「あれぇ?天才風紀委員長がそんな事もわかんないんですか?」
晴香は勝ち誇った様に立っていた八神を、自分が座っていた位置に座らせた。

立場が逆転した。

「人を散々下部扱いして来た酬いですよ」
「いっ言えるもんなら、言ってみろ!君の弱みを僕は握っているんだぞ!」
八神は暑くもないのに額から汗を流している。
晴香にはそれが可笑しくてたまらない。
「委員長のこの事実にどうせそれは揉み消されますよ。」
晴香は、サスペンスドラマの気が狂った犯人の様に、甲高い声で笑った。

八神はソファーから下りて、晴香の足元に頭を擦り付け土下座をした。
「頼む!!頼むから誰にも言わないでくれ!!この通りだ!」
晴香は目を丸くした。
まさか『あの』八神が自分に向かって土下座などするはずも無いと思っていたからだ。

晴香はどうしていいか分からなくなり、八神の頭を無理矢理上げさせた。
「あの‥」
なんと言えばいいか分からず晴香は言葉を詰まらせた。
「僕には‥ここしか帰れる場所が無いんだ」
床に両手をつけたまま、八神は囁く様に呟いた。

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