《MUMEI》
ダメもとで…
係員の兄ちゃんは、サーキット入口にある大きなテントの下で、文庫本を読みながら休憩していた。


足元にオレの影が近づくと、係員さんは徐に顔を上げた。


係員の目の前には灼熱の太陽が照り付ける中、全身を革ツナギで武装したオレが立っている。


オレ『あの…いまコースを走ってもいいスか…?』


係員『…。』


馬鹿を見るような視線が返ってきた…。

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