《MUMEI》
「え…?」
「いや…、ゴメン」
俺は隆志の顔を見る。俺と視線が合うなり露骨にそらされた…。
「隆志は…?隆志は…もしかして…惚れてるの?隆志は裕斗が…」
――バクバクする
…苦しい
…そんな訳ないって言って欲しい…
俺は祈る気持ちで隆志の胸にすがる…、
絶対イヤだ…。
あり得ないよ…。
隆志…、
ヤだ…。
「俺は……裕斗に惚れてる…」
「…隆志」
隆志は俺と視線を合わせてきた…。
「ゴメン…」
「じゃ…なんで…俺の事…つかマジでたまってて?」
ショックで頭ん中が熱い…。
目が回る…。
つか…何…これ…
俺はバッグを掴み部屋から出た。
悔しくて…辛くて…
――あり得ない位走った。
隆志から出来るだけ離れたくて…。
息が辛くなってブロック塀に寄りかかる。
立っていられなくてズルズルと俺は崩れた。
「う…、うっ…」
真っ昼間から涙が溢れて格好悪い…。
でも…抑えがきかない…。
ポケットの中の携帯が鳴った。
俺はポケットから出してキーを押す。
「はい…」
『加藤、俺だけど…』
「ゆ…、裕斗…」
・
前へ
|次へ
作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ
携帯小説の
(C)無銘文庫