《MUMEI》
約束
「相原さん、君が邪魔なんだ…」


「…………え…??」


東郷君が何を言ってるのかわからない…

あたしと、東郷君の好きな娘と、
なんの関係があるの…??

あたしが邪魔…??

あたしは、東郷君の想い人が
誰なのかすら知らないのに…


「―…じゃ、ま…って…」

「そう。
俺が好きな人の傍にいることさえできないのは、
…相原さんが邪魔してるから」


そう言って東郷君は微笑んだ。

…でも…

瞳が、笑ってない…


― 怖 い ―


東郷君があたしの両腕を壁に押し付けた。



「…と・東郷…くん…??」

「…逃げられないよ?
鍵だってかかってる。
トモくんは、助けに来られない…
―…今から俺が相原さんに何をしても、
誰も俺を疑わないし、バレることは無い。
…相原さんが傷つくだけ」

「…は…は、離して…!!」


「じゃあ、何もしないで帰してあげるから、
…1つだけ、今から言うことだけ…約束して」


東郷君の笑顔は消え、
真剣な顔つきになる。
そして、怯えるあたしの瞳を捕らえたまま、

こう言った。





「もう…俺の好きな人に…


―…梶野朋春に、近づくな」

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