《MUMEI》
腕枕
「秋菜!今、お前さぁ〜何してほしい?」


雅樹は楽しそうに言う。


急に聞かれるとなぁ…。


「じゃあ…腕枕してほしい」


「………腕枕!?」


雅樹は目を丸くした。


「どうして?ダメ?」


「だって…贅沢しなさすぎ!!!!」

「私にとっては十分、贅沢なんだけど」


今まで、私の言うことはきいてくれなかったし、腕枕なんてしてもらった事がない。


テレビで何度か見たことあってずっと憧れてたんだ…。


「秋菜って………」


「ん?」


「本当に可愛い」


………………………えっ!?


「なっ何言ってんの!?」


「そんな怯えた顔すんなよ!!可愛いって言っただけだろ〜!!」

そうだけど……。


「ホラ!!腕枕してやるからこっちこいよ」


雅樹はベッドの上で片手をひらひらしながら言った。


―ドクン、ドクン


へっ…………??????


何で…………????


感情が失われた私が何で雅樹にドキドキしてるの……????


「秋菜はやく〜」


私は、そっと雅樹の腕の上に頭をのせた。


「やっと来てくれた♪」


うわっ…………。


近くで見ると、ますます綺麗な顔…に…見える……。


「秋菜って綺麗な瞳してる〜」


「あっ…ありがとう…」


「心が綺麗な証拠だな!!」







きっと忘れない………。


心が綺麗なんて言われたの初めてだったから…………。









「秋菜は本当に可愛いなぁ…」


「芸能人のが可愛い人いるでしょ?」


「そんな事ないぜ?秋菜は芸能人並みに可愛い♪」


ほめ言葉が次々にでてくる…。

私、"可愛い"って言われるの苦手なんだよね…。


「もう………寝よ?」


「そうだな」


雅樹は電気を消して再び腕枕をしてくれた。


すっごく温かくて安心できた。

「雅樹……」


「何〜?」


「毎日、腕枕してほしい……」


「オッケ〜♪秋菜の言うことなら聞きます!!」


……嬉しい…………。


私の言うこときいてくれるなんて…………。


涙がでそうになった……。


こんなの何年ぶりだろう。


雅樹の優しさによって私の心は徐々に変化し始めていることに私は気付いていなかった。

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