《MUMEI》
風を纏う翼
「一人で防げと言った覚えは無い。ココに居る者全員で防げば良いのだ!!それくらいはできるであろうが!!」
さらに数体のオークやマミー、ホーネットバインドを葬りながら言葉を続けるハンディング。
半ばやけくそ気味に詠唱を始める冒険者達。
「アアアアアアアアア!!」
リオレイアの声に呼応するように火属性のブレスが吐き出される。
「来るぞ!!!!!!!!」
誰かの声が響く、それと同時に一斉に結界が展開されていく。
ドドドドドドドド・・・
火炎が吹き荒れ、周囲の建物が融解し、崩れていく。

大きく横に飛び、火炎を回避したリアムはシルフィールドを投げつける。
ヒュンヒュンヒュンヒュン・・
高速で回転しながら飛んでいくシルフィールドを追うように飛び、リオレイアへと接近するリアム。
「無事で居てよ!!」
ザシュン・・
リオレイアの胴体を掠め、シルフィールドが回転しながら戻ってくる。
「一応斬れるけど・・深手なんて無理か・・」
戻って来たシルフィールドを受け止め、リオレイアの目の前を横切るように飛ぶ。
「ガアアアアアア!!」
リアムに気が付いたのか、リオレイアが咆哮するが、まだ狙いはハンディングたちの方へ向いている。
咆哮は幾つかの魔法陣を発生させ、地上に炎弾が降り注ぐ。
ヒュン!!
再びシルフィールドを投げるリアム。
バシン!!
尻尾で打ち払われ、シルフィールドが弾かれていく。
尻尾を動かすことで生じた真空波を避けながら腕を軽く動かすリアム。
あらぬ方向へと飛ばされたはずのシルフィールドは回転を落とすことなく、再びリオレイア目掛け飛ぶ。
「これで・・無視はできないでしょう?」
意味ありげに笑みを浮かべるリアム。
サジタリウスブレイドは扱いが難しい武器である上、遠距離攻撃用として投げるということは、その一撃で勝負を決める、予備の武器があるといった条件が無ければ自殺行為に近い。リアムの持つシルフィールドは風を操ることによって、自由自在に動き、対象を切り刻むことができるが、操るには、相当の訓練、素質が必要とされている。現に同タイプのサジタリウスブレイドは多数存在するが、使いこなせるのは10人に満たないだろうと言われている。
ザシュン!
狙いが僅かに結界によって歪められたが、リオレイアの頭部を掠め、血が噴出する。
「アアアアアアアアアアアアア!!」
リアムに向かって咆哮し、突撃体勢を整えるリオレイア、戻って来たシルフィールドを受け止め、真っ向から対峙するリアム。
有翼人種特有の薄く黄色がかった翼が大きく広がり、茶色の髪が咆哮によって起こった暴風に流れる。
魔法強化用に彫り込まれた刻印が蒼く浮かび上がり、全身を彩る。
「魔風の射手、リアム・ヘル。私の放つ風は逃しはしない。」
全身全霊を持って相手をすると誓うために名乗りを上げる。

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