《MUMEI》 始まりの崩壊・・・・・・・彩詩が聖殿を出た所まで時間が戻る。 「ふ〜〜ダメダメ、やっぱ暗くなるや。」 聖殿から出た彩詩は守護騎士団の詰め所まで戻り、自室へと戻っていた。 「ん〜・・街をブラブラするわけにも行かないしなぁ、どうしよう?」 一応、儀式はまだ終わっていない。そんな時間に団長がブラブラしているのはマズイと机の上に溜まった書類に目を通していく。 (ここんとこ忙しかったからなぁ、結構溜まってる・・) 忙しい=狩月たちと遊んでいたため。 儀式が終盤に近づいているのか、魔力の流れてくる強さが一層強くなる。 「・・・・式夜たち大丈夫かな、団長としては見に行かないとダメだよね。ウン、団員を心配するのは団長として大事だよね。」 誰に言っているのか、団長と言う言葉に力を籠めてウンウンと頷く。 「それじゃぁ・・行こう。」 書類を放置して街に自室から出ようとしたとき、 ズシン・・ 強い魔力が一瞬溢れたの感知した。 良く知っている魔力。だが酷く不安定で、今にも崩れてしまいそうなそんな魔力の波動。 「式夜・・・?」 ポツリと言葉が漏れる。 強かったのは一瞬で、次第に感知できなくなっていく。 思わず窓に駆け寄り、 「何処・・」 視線を彷徨わせ、走っている白狼を見つけた。 「・・キティ?」 嫌な胸騒ぎがした。 窓から飛び降り、キティに向かって走る。 「キティ!!」 声を上げると、こちらに気が付いたキティがこちらに向かって方向を変えた。 「・・リース!!」 キティの背に倒れこんでいる人物を確認して驚く。 即座に治癒魔法を展開しながら医務室へとキティと併走して向かう。 医務室のドアを蹴り潰し、 「ロナイ!!!」 声を上げる。 「何事だ〜団長。またドアぶっ壊して・・・・奥に運んでくれ、すぐに用意する。」 ふぁ〜と欠伸をしながら出てきたロナイだがリースの姿を確認すると即座に指示を出す。 数分後・・ 治療室からロナイが出てきた。 「ロナイ・・」 「あ〜、問題ない。とは言え、しばらくはベットに括り付けとかないとダメだろうな。リースだったか、傷も治りきってない体で何をしたんだか・・」 「意識は戻ってる?」 今もまだ嫌な胸騒ぎは収まらない。 「ああ、だが絶対安静だか・・」 「ありがと!」 ロナイの横を抜け、治療室へと入る。 「リース、何があったの?」 入るなり声をかける彩詩。意識が戻ったばかりでまだぼんやりとした様子のリース。 「・・・彩姉さん?」 「何があったの?」 リースが横になっているベットのすぐ側に立ち、質問を重ねる彩詩。 「・・・!!彩姉さん!!アイズと式夜が!!」 記憶が戻って来たのか、自分が傷を負った理由、そして場所を伝える。 話を聞き終えた彩詩はリースに安静にしているように言いつけると、治療室から飛び出す。 「・・・無事で居て・・・お願い。」 祈るように呟きながら医療棟を後にしようとしたときだった。 「団長!!」 ロナイが彩詩の武器を投げてよこす。 「全員警戒態勢。聖殿の方にも何人かヒトを回しておいて!!」 それだけ叫ぶと、「フライウィング」を展開、空へと飛翔する。 場所は把握した。後はただ飛ぶだけ・・ ドゴゴゴゴオオオオオン・・ 聖殿から溢れ出した白光は詰め所を飲み込み、破壊していく。そのまま空へと一直線に伸びた光は、結界へと当たり、結界を破壊していく。 「次から次へと・・・聖殿は頼むよ、バンプ。」 飛翔を続けながら祈るような声を零す。 前へ |次へ |
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