《MUMEI》
晴香の決意
「凄い‥」
晴香は小さく呟いた。
モニターには港と港に在る倉庫の入口とその中の様子が映し出されていた。
倉庫の入口には、スーツを来た数人の男が立っていた。

晴香は部屋を出て、未だにしゃがみ込む八神の傍に腰を下ろした。
「委員長はイイ事をしているんですよね?」
「少なくとも…僕はそのつもりだ」
八神が自信に満ちたような顔をした。

「すみません…」
晴香は俯いた。
「なんで後藤が謝るんだ?」
「だって…委員長のこと‥悪い事してるみたいに言っちゃって‥」
晴香は今にも泣きだしそうな位、顔を歪めた。
それを見た八神は一瞬目を丸くしたが、優しく微笑んだ。
「『こんなとこで何してんだ?』って思っただけだろ?君は悪くない」
八神の優しい微笑みと言葉に、晴香は目尻が熱くなるのを感じた。

そして‥しばらくの沈黙が続いた後、晴香が立ち上がった。
「あたしも協力する!!」
「はぁ‥?」
突然の事に八神は物凄い変な顔をした。
「あたしだって風紀委員だもん!ほっとけないわ!」
晴香は何か楽しそうな事が待ってる様に目を輝かせた。
「駄目だ。」
「なんで!?」
「君は咄嗟に物を言う馬鹿なのか?」
八神は呆れたようにソファーに座り直した。
「ばっ‥馬鹿じゃないもん!」
「下手すれば死ぬかもしれないんだ」
八神の言葉に晴香の心臓は、大きく脈打った。

―死ぬ?

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