《MUMEI》
止める者
手に剣は無い、だが容易く式夜を殺せるだけの打撃。対する式夜の全身はズタズタ。回避さえもできずに殺されて終わる・・
ハズだった。
ガス!!
式夜に向かって突撃していたごまに碧色の翼が体当たりし、吹き飛ばす。
その翼を纏った人物はそのまま大きく旋回し、降り立つ。
「・・・狂気に惑わされしモノ、神の御名において命ず。静かなトキへ戻り賜え。サイン・オブ・リバース。」
立ち上がろうとしていたごまが意識を失って倒れる。
「・・・・・何をしてるの?」
「敵を殺すだけ・・彩詩、貴方も邪魔をする?」
静かに間合いを詰めていく。
「無銘、今すぐ刀身に戻りなさい。」
彩詩は、式夜に向かって、「無銘」と呼びかける。
「・・指図される覚えは無い。式夜が私に行動権を渡した。」
いつの間に拾ったのか、平然と彩詩に向かって夜色の刀「無銘」を向ける。
「それで、ごまの腕を千切り飛ばして・・ふ〜ん。」
周囲を軽く見回した後、彩詩の姿が掻き消える。
ギィィン!!
「力ずくでも式夜に変わってもらうからね。」
「・・・やだ。」
数回、斬り合っただけで勝負は決した。
式夜の手から「無銘」が弾き飛ばされ、地面に転がっていく。
「・・・意味無い。式夜は寝てる。」
無手のまま佇む式夜(無銘)に彩詩は無言で近づくと・・
「式夜、いい加減に起きろ!!!」
ゴッ!!
拳を高速で叩き込んだ。
豪快に吹っ飛ばされて地面に転がっていく式夜(無銘)。
「うぁ・・彩詩のバカ!!痛い!!」
むくっと立ち上がる式夜(無銘)眼が泣きそうに潤んでいる。
「文句なんて聞かない。早く戻りなさい!!」
再び式夜に向かって拳を振り上げる彩詩。
「・・・・彩詩の暴力女・・」
ボソリと呟くと式夜の体は意識を失ったように倒れそうになるが即座に彩詩が体を支える。
「式夜・・よかった。」
式夜の傷の具合を確かめ、ほっと息を漏らす。

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