《MUMEI》
崩壊は終わらない
「っとに・・重い・・」
ごまの体をズルズル引き摺りながらキティに載せていた女性が不満を漏らす。
「ごまの傷は大丈夫、キティホーク?」
式夜を抱えたまま、キティホークの側に歩いていく彩詩。
「そうね、腕以外は特に問題なし。」
ちらっと、ごまを見ると彩詩に笑みを向ける。
「腕・・何とかできない?」
式夜を地面に寝かせ、尋ねる。
「・・無理。これだけ完全に破壊されてると・・アイズ、いつまでも寝てないの。怪我人居るんだから!!」
ペシペシとアイズの頬を叩きながら起こすキティホーク。
アイズが負ったはずの怪我はほぼ塞がり血も止まっているようだ。
「・・・師匠!?あれ、なんで??」
ガバッと起き上がったアイズはキティホークに驚いているようだが、「早く治療をする!!」と頬を抓られて式夜の治療を始める。
「・・「無銘」。」
彩詩が地面に転がっている刀に向かって声をかける。
「・・・ごめん。でも・・私は式夜を護る為に・・」
しばらくの沈黙の後、言い難そうに無銘が答える。
「・・式夜にも謝っておくこと。後、暴力女とか言わないの。」
それだけ言うと、彩詩は無銘を拾い上げ、式夜の隣に置く。
「式夜の傷は?」
「ん〜・・命に別状は無いね。入院、一週間って所。そっちのごまの方が酷いくらい。特に誰かさんが蹴っ飛ばした怪我とか・・」
彩詩を見ながらキティホークが苦笑する。
「・・・遊んでいられる状況じゃないね。ホーク、その二人をお願い。私も戦わないとね、この街を護るために。」
空を見上げ、「フライウィング」を起動する。
東側、西側から侵攻してきたモンスターの群れは、確実に街に破壊をもたらしている。上空ではリオレイア級の龍とリアムを中心に、激しい攻防が確認できる。
「思ったより冷静ね。」
「・・・本来なら、式夜とごまの所に来る前に、あっちを押さえるべきだったんだけど・・」
それだけ言うと彩詩は飛翔、剣を抜き放つ。
「アイズ、急ぐよ。」
それだけ言うと、式夜を背負うキティホーク。ごまはキティの背中に載せてある。
「はい!!」
大きく返事をすると駆け出していくアイズ。
それをあざ笑うかのように、大きく街の一角で爆発が起こった。丁度、宿屋街の辺りで・・

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