《MUMEI》
仲間を信じて!
死ぬ…?なんで?
晴香の頭の中はぐちゃぐちゃになっていた。
「何で死ぬの?」
晴香は囁く様に口にした。
八神は真剣な顔をしている。
「相手は薬物を扱うとんでもない奴らだ…邪魔する奴らの廃除に方法は選ばないだろう…」
………つまり………
「殺されるってこと?」
八神は大きく頷いた。
晴香の体に寒気が走った。

悪い事をしてる人を見過ごしたくはない。
…けど…死ぬなんてまっぴらゴメンだ。

「僕一人で平気だから、君は今まで通りにただの風紀委員でいてくれ」
「……委員長は……」
晴香は目尻が熱くなるのを感じた。涙が頬を伝った。
「‥おっおい!なんで泣いている」
晴香はハッとして、手の甲で涙を拭いた。
「‥僕何かしたか?」
晴香は首を縦に振った。
「なにしたかな?」
「…委員長は…」
「えっ?」
晴香は真っ直ぐ八神の目を見た。
「委員長は死んでも構わないと言うんですか?」
「君は馬鹿だな。僕はそんなこと言っていない」
「言ってます!」
晴香は自分の拳を強く握った。
「一人よりは二人の方が成功率は高いです!仲間を信じてください!」
再び晴香の頬を涙が伝った。
悲しみなのか悔しさなのか晴香にも解らない。

しばらくの間、部屋には晴香の泣き声だけが響いていた。
「……悪かった……」
「‥ほぇ?」
晴香は思わず口を塞いだ。
「‥僕は‥迷惑をかけないで居ることが‥仲間の為だと思っていたが、勘違いだった様だ。」

晴香の涙がピタリと留まった。

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