《MUMEI》 悪い相性八神は晴香の瞳を真っ直ぐに見つめた。 「僕の力になってくれるかい?」 晴香は、嬉しさで体中の力が抜け、再び涙をこぼした。 「…あた…あたし…頑張ります!」 晴香は涙を拭いながら言った。 八神は満足そうに頷いて、まるでペットを撫でる様に晴香を撫でた。 晴香は少し恥ずかしくなり、顔を赤らめた。 八神は晴香が泣き止むのを待ってから話始めた。 「ここの社長の名は佐々木道郎 四十八歳。薬物取引は既に二年目になる。」 晴香は頷きながら話を聞く。 「薬物を積んだ船が来るのは四日に一度で早朝三時十七分前後。見張りは夜はドアの前に二人、他は中に二人だ。」 「侵入するなら、夜ってことね」 八神は首を縦に振る。 「侵入して、証拠の写真を収めたら、それをサツに郵送する予定だ。」 「直接持って行った方がよくない?」 晴香が首を傾げると、八神は首を左右に振った。 「仲間割れして密告したと思われたら厄介だ。だから、郵送に限る」 晴香は思わず関心してしまう。天才風紀委員長の頭がここまでまわるとは思っていなかった。 「一応聞くけど、あたしは何をすればイイの?」 「モニターで監視だ」 晴香は目を丸くした。 「問題でもあるのか?」 晴香は少し躊躇いながら口にした。 「…あたしは何もしないの?」 「だから、モニターで監視だと言っている」 晴香は小さくため息をついた。 前へ |次へ |
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