《MUMEI》
モニター監視
「ありえない!」
晴香はデスクをおもいっきり拳で叩いた。
八神は「モニターを見ていろ」とだけ言い、入口を閉め教頭先生に会いに行ってしまった。

モニターには沢山の木箱が山積みにされている部屋が映し出されていた。
「目ぇ痛〜い 」
晴香は目を擦った。

「佐々木社長!」
モニターからの声に晴香は顔を上げた。
先程の部屋に、スーツを着た小太りな男が入って来た。
「この人が佐々木社長…」
晴香はじっとモニターを見つめていた。

「明日は私の一番好きな『あれ』が送られてくる。慎重に扱い頼むよ」
佐々木社長が鼻の下を擦りながら言った。
見張りだと思われる人が深々と頭を下げた後、佐々木社長は部屋を出た。
(『あれ』って何だろう?)
しばらく晴香が考えていると、再び扉が開いた。佐々木社長だ。
「夜番の奴に伝えといてくれ。『今までと違う人が来ても、あまり警戒しなくてよい』と」
佐々木社長は、見張りの返事を聞くと、なぜか声を上げながら笑って去って行った。

―ガチャ
監視室のドアが開き、晴香は構えながら振り返った。
「馬鹿か君は。なに構えているんだ?戦うつもりか?」
ドアのところには八神が立っていた。
「なんだ‥八神か‥」
晴香は安堵の息を吐いた。
「はい」
八神は晴香の前にコンビニの袋を置いた。
「何コレ?」
「パンと茶だ。」
「だから‥なんで?」
「さっき来た人に貰ったんだ」
そう言うと八神は自分の分のパンを開けて噛り付いた。

「なにか変化はあったか?」
「あっ!」
晴香は先程の事を思い出し、八神に話し出した。

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