《MUMEI》

オレは、すっかり温くなった 500ml 入りのポカリをガブ飲みした。

プハ〜ッ…とオヤジ風の吐息をひとつ…

オレは岡ヤンの様子をチラ見した。


岡ヤンは特に何をするでもなく、只黙ってピット内に持ち込んだチェアに腰を下ろしていた。

オレ『もう少し走ってくるよ。』

オレは岡ヤンが革ツナギを着る様子が無いことを確かめてから告げた。

明らかに不機嫌だと思ったが、岡ヤンは手を挙げて微笑み返してくれた。

岡ヤン『健二のタイムだんだん良くなってんよ…最後の方なんて43秒台前半のタイム出てたぞ…この調子で頑張れ(笑)』

何だか話を反らされたようだが、岡ヤンの激励は素直に嬉しかった。

オレはメットを被り、再び NSR に跨ってコースに繰り出した…。

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