《MUMEI》 矛盾美樹のいきなりの言葉に、三人の表情が怪訝さで曇る。 「まさか。」 司は肩を竦めた。 究極の二択を迫られているこの時に、また面倒な事を言い出す美樹に苛立ち、それが声へと反映する。 「そんな訳ないだろ?」 「でも…」 「何の根拠があって言ってんだよっ!?」 司のキツイ言い方に、美樹は肩をビクつかせた。 顔が驚きと恐怖で引き攣り、今にも泣き出しそうだ。 「ちょ…おい、司!!」 洋平は慌てて止めに入ったが、爆発した司の怒りは止まらない。 「井上が知ってたところでどうだっていうんだよ! 今は関係ないだろ! 一々面倒臭い事言うなよ!」 「で…でもっ」 「だいたい、もしあいつが知ってたとしたらおかしいだろ!? あいつはカメラマンだったんだぞ?元々写真には写ってなかった。なのに死んで…。」 司の怒りが一気にペースダウンした。 「あれ…?なんか、変。」 気付いたのだ。 矛盾していることに。 この解決方が間違っている事に。 「ね?おかしいでしょ?」 さっきまで泣きそうな顔をしていた美樹が、今度は勝ち誇ったような顔をしていた。 前へ |次へ |
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