《MUMEI》 「どーいたしまして♪」 梶野はそう応えたあと、 「…で、おれからもお礼。 ―…ありがとな」 「え??…あたし、別に何も―…」 お礼言われるようなこと、 なんかしたっけ?? 「…昨日さ、司と話してくれたんだろ? おれ、傷ついてる司に何もできなかったからさ… だから、ありがと」 梶野に改まれると、不思議な気分だ。 「…東郷君にも言ったけど、 あれは、あたしがやりたいようにやっただけ!! …だから、なにも気にしないでよ、ね!!」 ―…梶野の言葉に勇気をもらった、ってことは、 恥ずかしいから言わない!! 夕暮れの公園には 夏の終わりを惜しむように ひぐらしの声が 小さくこだましていた。 前へ |次へ |
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