《MUMEI》 係会「えっと、今日の放課後、 それぞれの教室で係会があるので、 係になった人はちゃんと行って下さい」 すべての係を決め終え、最後に委員長はそう言うと、 教壇から降りた。 係会…組別だから、やっぱ梶野の隣に座んのかな… そんなことばかりが気になってしまった。 ―放課後。 「相原!!おれたち第1会議室だって」 梶野が、あたしを呼びに来た。 「…わかった」 ゆっくり立ち上がって、 すたすたと歩き出した梶野の数歩後ろを歩く。 しばらく歩くと、 梶野は急にくるり、とあたしの方を振り返った。 「…お前、亭主関白じゃねーんだから、もっと前歩けよ」 「…だって…」 ―だって、なんとなく緊張するんだもん!! 「だって、何??」 「…………わかった」 梶野の横に並んで歩く。 第1会議室に着いたときには、緊張は取れていた。 第2会議室より断然きれいな部屋に入り、 『2-A』と指定された席に並んで座る。 後ろの席から、 「あれ??梶野じゃん!!」 という声。 梶野が振り向く。 つられてあたしも振り返る。 後ろの席ってことは、2-Bの人だ。 「あ、えっくんだ!!」 梶野が驚いたように言う。 『えっくん』と呼ばれた男の子は、 黒縁眼鏡の似合う、元気そうな男の子だった。 「なんか久しぶり!!元気してたか!?」 「おう!お前も相変わらず??」 「まーな♪」 1年のとき同じクラスだったのか、 2人は楽しそうに言葉を交わす。 「…えっと、そっちの子は??」 『えっくん』があたしを見る。 「あ、あたし、相原幸っていいます。 梶野と同じクラスで」 あたしが答えると、 「―…ゆきちゃん、ね。覚えた!! オレ、江藤栄一朗!!よろしく☆ みんなには『えっくん』って呼ばれてる♪ 」 人懐っこい笑みを浮かべて、自己紹介してくれた。 「こっちこそ、よろしく!」 あたしが笑顔で返したとき。 「えーと、皆さん集まりましたか? …では、これから係会を始めます」 担当の3年生の言葉で、係会が始まった。 前へ |次へ |
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