《MUMEI》

係内でも、『看板』、『旗』、『スローガン』など、
いろいろ分かれなきゃいけないみたいだ。

…あたしは、『看板』かな…


「梶野!お前、看板にしねえ??」


江藤君の声。


「いーけど、なんで看板??」


不思議そうな梶野の答えに、
江藤君は黒板を指差した。


「…あそこ、もう1年って係決まってるだろ??
―…『看板』のとこに、『姫井りか』って書いてある」

「…??うん。
それがどーかしたのか??」

―…あたしも、わかんない…



梶野がなおも疑問をぶつけると、
江藤君は驚いたように


「…はあ!?
お前、『姫』しらねえの!?
1-Aの、すっげえ可愛い子だよ!!
…ほら、あれ!あのふわふわの!!」


そう言って、また前方を指差した。


その先に座っている女の子。
後姿しか見えないけど、
ふわふわの長い髪は自然な栗色で、『お姫様』って感じだ。


「…かっわいいよな〜…!!
―よし、俺たち看板に決定な!!
ゆきちゃんも、いいでしょ??」

「…え!?あ、う・うん…」

「じゃあ、オレ前に書いてくる〜♪」


江藤君は嬉しそうにそう言って、
いそいそと名前を書きに行った。


「…よかったのか??看板で…」


梶野が尋ねてくる。


「うん。
それは、最初から看板にしようかなって思ってたから…」

「そっか」


…でもほんとは、梶野が看板なんだったら、
別なのにしようと思ってた。

最近、あたしの梶野に対する態度が変なのは、
自分でわかってる。

だから、ちょっと離れてようと思ったんだけどな…

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