《MUMEI》

「私ね。記憶がないの。」

いきなりなのちゃんが喋りだした。


「え?」


「私ね。本当は菜乃花って名前じゃないかもしれないんだ。」



なのちゃんは泣きながら言う。


「あ!でッでも菜乃花って名前可愛いし似合ってるよ!?」


俺は慌て、励ましたつもりで言った。


「本当?おばあちゃんがね?つけてくれたの。」


なのちゃんはやっと泣き止んだ。


俺はほっとして


なのちゃんの手を握った。

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