《MUMEI》 目が覚めた。 頭痛は治まり、記憶が戻った。 私は雅樹に膝枕されていた。 近くには あの女の人・・・ いや。私の母親が立っていた。 「葉菜。」 母親は私に触ろうと手を伸ばす。 すると私の体は、一気に母親から遠ざかった。 私の頭にあの頃の記憶がよみがえる。 怖い。自分の母親が怖い。 「葉菜・・・ごめんなさい。ごめんなさい。」 私の母親は砂浜に泣き崩れた。 私はずっと雅樹に抱きついていた。 恐怖に震えながら。 前へ |次へ |
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