《MUMEI》 第二十二回国民運動能力向上プロジェクト表黒い画面にパッと映像が現れた。 どこか野外に設置された会場のようだ。 中央にステージが作られ、その周りは高い柵で囲まれている。 さらに柵の外側には客席なのか、パイプ椅子がズラリときれいに並べられていた。 それはまるで、大物ミュージシャンのライブ会場のようだ。 しばらく誰も映っていない会場の様子が続く。 それでも、ユキナも男たちも何も言わない。 サトシは黙ってその映像を見つめ続けた。 数分後、突然画面が切り替わった。 さっきまで誰もいなかった客席には溢れんばかりの人だかり。 そしてステージの上には質の良さそうなスーツを身につけた司会者らしき男がマイクを片手に立っている。 ザワザワとした会場の音声も聞こえてきた。 「皆さま、お待たせ致しました」 司会者はステージの中央に立ち、会場を見回しながら言う。 すると、ざわついていた会場が一気に静かになった。 「それでは、只今より第二十二回国民運動能力向上プロジェクト成功者の表彰式を行いたいと思います」 会場が一斉に拍手で沸く。 「今年の成功者は鬼が二名。子が三名。計五名です。しかし、大変残念なことに、そのうち三名はこの表彰式に来られる状態ではありません」 司会者は一度言葉を切り、会場の反応を確かめるように間を置いた。 観客は司会者の次の言葉を待っているのか、静まり返っている。 「しかし、大丈夫です。この会場に来ている二名の成功者。おそらく、皆さまが一番待っていた二人でしょう」 観客たちの怒号が飛ぶ。 かなり興奮しているようだ。 「それでは、登場していただきましょう」 司会者はそう言うと、片手をバッと自分の後ろへ向けた。 前へ |次へ |
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