《MUMEI》
*。*線香花火*。*
沖縄観光の時間はあっという間に過ぎていった。


楽しい時間が切ない表情をしていた龍也のことをどんどん忘れさせた。













「花火だぁ!!早くやろう!!」


夏子は子供みたいに無邪気に笑いながら花火を並べる。


「ほら〜!!皆も早く!!」


夏子がそう言うと、智希がバケツをに水を入れてきた。


「んじゃやるかぁ!!」


智希はホテルから借りてきたチャッカマンをだして火を付け始める。


「うっわ〜!!!!!めっちゃ綺麗だわ!!」


智希は花火を見ながらはしゃいでいる。


私もやろう!!


「和哉くんと龍也もやろ〜!!」


私は海岸で話していた2人を呼んだ。


「きゃ〜!!楽しい〜!!」


夏子は今まで見たことのないくらいのはしゃぎよう。


でも本当に楽しい!!


私たち5人は子供みたいに花火に夢中だった。


多分、この時の私たちは地元の子供たちよりも子供になっていたと思う。


もう高1なのに(笑)


笑顔が絶えない時間だった。



「んじゃ最後に皆で線香花火しようぜ!!誰が一番、長くできるか!!一番になった人は、明日どこで何をするか決める権利を与える☆」


智希のその提案に私たち4人は大賛成!!!!!



「私、絶対に勝つ!!!!!!」


夏子はすっごい張り切ってる!!

「俺、苦手なんだよな〜!!」


和哉くんは少し、自信なさげ。

「まぁ、頑張るか!!!!」


と、気合いを入れたのは龍也。

「私も負けないから!」


と、言ったのは私☆


「んじゃ始めるぞ〜レディー………ゴー!!!!」


智希がそう言って線香花火大会(?)が始まった。


もちろん、沈黙状態。


そんな私たちの中にパチパチと線香花火の音だけが微かに響いている…。


―パチパチパチパチ



「……………あっ―!!!!!!!!落ちたぁ〜〜〜〜〜!!!!!」


始まって6分が経過した時、そうさけんだのは言い出しっぺの智希だった。



今、ここで分かった。


智希には集中力ない……と。



「っあ!!落ちた〜!!!!!」


8分が経過した時、そう言ったのは和哉くん。


残りは私と龍也と夏子。


そして10分が経過しようとした時…………


「あ゛―――――!!!!!!」


と、夏子が叫んだ。


落ちたんだ。


残るは私と龍也!


「愛梨沙には負けないから!俺、花火は得意だからな!」


………えっ………?


そのコトバ……


その時、私は線香花火を落としてしまった。


「あ〜花坂の勝ちだ!」


「愛梨沙おしかったね〜」


「まぁ頑張ったよ!!俺なんて2番目に落ちたし(笑)」


皆が口々にそう言う中、私はボーっとしていた……


次の瞬間……………


―ドサッ


「愛梨沙!?」


「愛梨沙チャン!?」


「愛梨沙!?」


「愛梨沙、どうした!?」


私はその場に倒れた。

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