《MUMEI》
・□・
「えーと…
リーダー、やりたい人いる??」


梶野がグループ全員に問いかける。


「……………」

「オレはいや〜」
(↑これは江藤君)

「…いないよな〜…
――仕方ない!!ここはおれがやるか!」


みんなに梶野がそう宣言すると、拍手が起きた。


――梶野…意外に偉いじゃん。


リーダーは、梶野に決定。

この日は、解散ということになった。


でも、頭から離れない『姫』の言動。


なんでだろう…


なんだか、嫌な予感が胸をよぎった。





――解散後。


リーダー・梶野が
それを先輩に報告しに行ったので、

ひとりで机の片づけをしていると、


「せんぱい!!」


砂糖菓子みたいに甘い声がした。


振り向くと、そこには
天使のような微笑みを浮かべた『姫』がいた。


「……あたし??」


周りを見回し、あたしと『姫』以外に人が残っていないことを確認してから、
恐る恐る訊き返す。


「はい♪
……あのぉ、ちょっと質問あるんですけど、
いいですか??」


上目遣いで訊かれると、女のあたしでも見惚れてしまい、


「…う、うん。いいよ」


と、答えることしかできなかった。


「――じゃあ、さっそく質問です♪
…あの、さっきリーダーに決まったせんぱいって、
―…彼女…いますか??」

「…へ!?」


あまりに唐突すぎて、とぼけた声しかでなかった。


「――えっと、それって…梶野のこと??」

「かじのせんぱい、っていうんですかぁ☆
そうです♪その、かじのせんぱいです!!」

「い、いないと思うけど…なんで??」


―…理由が、全く見えない!!


あたしが訊くと、『姫』は微かに頬を赤らめて答えた。


「あの…ここだけの話ですよ??」

「う、うん」


小さくなった『姫』の声に、耳を傾けると、


「りかは、―あ、りかって呼んでくださいね!
―…実はりか、ずっと『かじのせんぱい』のこと、探してたんです」


そこで、『姫』改めりかちゃんは
大きな瞳であたしを見つめた。


「――せんぱいは…
あたしを助けてくれた、『王子様』なんです」

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