《MUMEI》
気持ち
2人が付き合う事になってから、1週間が立つ頃だった。
カフェでも2人が付き合っている人が増えた。
菜々が休憩に入ると、速水さんがやって来た。
「ょう!菜々ちゃん」
「速水さん。」
「…菜々ちゃんさ…一條と付き合ってるんだって?」
「…誰から聞いたんですか?」
「みんな噂してるよ。」
速水さんは苦笑いした。
「うそ…。」
菜々は少し照れた。
「別に隠す事ないじゃん。
堂々としてればいいじゃん。」
「…で、でも。」
「ハハ。」
速水さんは笑っていたけれどなんだか少しいつもと違った。
「菜々ちゃん…あの人より、一條を選んだんだな…。」
と言った。
菜々が不思議そうに答えた。「…ぇ?あの人って…
誰の事ですか…?」
「は…ぇ ?言ってないの…?」
菜々は速水が何を言いたいのか訳が解らない。
「速水さん…?」
速水は驚いたまま黙っていた。
(言わない方がいいよな…。ここでいったら、菜々ちゃんが混乱するだけだ。でも佐山さん…まだ伝えていなかったなんてな…)
速水は佐山が菜々に好意を持っている事に気付いていたのだ。

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