《MUMEI》 速水さん「…どうしたんですか? 速水さん…。 大丈夫ですか?」 菜々は心配そうに速水をみつめている。 「…ぅぅん。 なんでもないよ。 変な事言ってごめんな…。 忘れていいよ…。」 菜々は不思議そうな顔をしたけれど、納得してから、休憩室を出ていった。 「…佐山さん…はやくしないと本当に他の奴に盗られちまうぞ…。」 速水はぽつりと呟いた。 一方、菜々は速水の言葉が少し気になっていた。 (速水さんがいっていたあの人ってなんなんだろ…?) しかし気にしていても仕方ないので、そのままにした。 まるで、臭い物に蓋をする様に…。 バイトが終って家に帰る。 菜々の両親は2人とも仕事が忙しくてほとんど家に帰って来ない。 なので菜々は妹と2人暮らし当然の生活をしている。 「ただいまぁ〜。」 「おかえりお姉ちゃん。」 妹の莉々華(りりか)が玄関にやって来た。 「今日もバイト?大変だね。」 「うん。でもバイト好きだから。」 菜々と莉々華は一つ違いの姉妹で仲が良い。 そして菜々は部屋に入るとその日はすぐに眠りについた。 前へ |次へ |
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