《MUMEI》
*。*涙声*。*=龍也=
愛梨沙が砂浜でイキナリ倒れた時………


俺は、何が起きたのか分からなかった。


イキナリ倒れ込み、頭を抱えた愛梨沙を見て俺の腕は知らぬ間に愛梨沙へ伸びていた。


「俺が愛梨沙を運ぶ!」


俺がそう言うと、藤宮たちは頷いた。


俺は出来るだけ早く走り、ホテルに向かった。


ホテルに着くと、和哉がホテルの人に話をし、早川は何処か静かな場所を貸してほしいと頼んだ。


藤宮は2人がこんなことをしている間、愛梨沙の手を泣きながら握っていた。


「部屋!!あっちの部屋!!」


早川は俺たちを部屋まで誘導してくれた。


そしてベッドの上に愛梨沙を寝かした。


「愛梨沙!!大丈夫!?」


「愛梨沙チャン!!目を覚ましてくれよ!!」


「愛梨沙…俺たちがいるからな」


3人は涙声で愛梨沙にしゃべりかける。


もちろん、愛梨沙からの返事はない。


「俺………愛梨沙の母さんに連絡してくる……」


俺は必死に涙をこらえて部屋をでた。





―ピッ


『もしもし?どなたですか??』

電話をかけると愛梨沙の母さんはすぐにでてくれた。


「こんばんは…遅くにすみません…龍也です…言いにくいんですが、愛梨沙が…急に頭を抱えながら倒れてしまって……」


『………………。』


俺たちの間に沈黙が続く…。


まるで、愛梨沙の母さんが俺に愛梨沙が記憶喪失になってしまったことを告げた日のようで。


『………のよ…』


「…えっ?」


数分の沈黙の後、愛梨沙の母さんが何かを言った。


『時々……あるのよ……頭を抱えながら倒れ込むこと……まるで何かを思い出したかのようにね……』


……………えっ!?


『龍也くん……愛梨沙のこと…よろしくお願いね…』


「えっと…どうゆう意味……ですか…?」


『龍也くんなら……何か出来ると思うの………愛梨沙の為に』

愛梨沙の為に………?



『龍也くん…愛梨沙は平気よ…すぐに目を覚ますと思うわ…それじゃあ……ね』


最後の方の声は俺の勘違いかもしれないけど……涙声のような気がした………。









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