《MUMEI》
+。。すごい人。。+
《全校朝会があるので9時までに体育館へ》


黒板にそう書いてあったので私と咲菜ちゃんはカバンを置き、体育館へ向かった。


「面倒だね〜」


「うん…まぁ仕方ないよ!!」


私と咲菜ちゃんはそんな会話をしながらも、体育館へ向かった。












【急に集めて申し訳ない…最近この学校の高等部の男子生徒が複数の女と夜にたむろっているらしい………何か知っている人は……】



はぁ…………。


入学早々こんな話??


どうせ先輩たちでしょ?


1年は関係ないって。













「ありえないよねっ!!何で私たちまで呼び出されなくちゃいけないのよー!!」


「本当だよね!!まじかったるかったぁ〜」


私と舞ちゃんは昼休み、朝会のことを話していた。


舞ちゃんも私と同じことを思っていたらしい……。


「入学早々あんな話って……本当に嫌になるよー!!」


気分が悪い!!!!


「君たちうるさい………」


えっ!?


「ここさぁ…図書室前だよ?そんなにギャーギャー騒ぐんだったら他でやりなよ」


私と舞ちゃんが振り向くと一人の男の子が立っていた。


綺麗な顔立ちをしたその男の子はメガネをかけていていかにも真面目そう……。
でも茶色い髪……。


「何人のことジロジロ見てんの?僕の言ったことが気にくわないの??」


「いや…すみません…」


舞ちゃんは静かにそう言って私の手を引いた。


「ちょっ!?舞ちゃん!?」


舞ちゃんは返事もしない。


その時……


「舞と梓〜!!!!!!!」


ん????


この声は……


「光介くん!?」


私がそう言うと舞ちゃんは足をとめた。


「おっお前らさぁ!さっき、鈴堂優希と喋ってただろ!?」


『鈴堂優希?』


私と舞ちゃんは同時に言った。

「お前ら知らねーの!?」


私と舞ちゃんが頷くと光介くんは説明してくれた。


鈴堂 優希(リンドウ ユウキ)
私たちと同じ高校1年生。
なんとこの学園を創った父親の息子らしい……。
今は母親も父親もいない。
亡くなってしまったらしい。
唯一、家族として生きているのは中等部にいる妹。


そして学年1の頭の良さ。


そんな人らしい。




「すっごい人じゃん……」


舞ちゃんはすっごい驚いた顔をしている。


でも本当にすごい人……。


「だろ!?しかも特進クラス(特別進学クラス)らしいぜ!!」


え――――――――っ!?


13人しかいないあのクラス!?


私たちの中では一番頭がいい隼人くんと舞ちゃんですら入れなかった特進クラス!?


すごすぎ!!!!!


「妹も、学年1頭がいいらしい」


どんだけ――――――!?



天才兄妹じゃん!!



「女子に密かにモテてるらしいぜ〜!!頭が良くて優しい"天才王子"って呼ばれてるんだってさ♪」


「優しい?私たちを注意した時すっごい冷たかったけど?」


「相当、ウザかったんじゃね?」


光介くんがそう言った瞬間に舞ちゃんのアッパーが光介くんに直撃。


光介くんは赤くなった顔(とゆーか顎?)を 抑えながら保健室まで走っていった。







鈴堂優希………。


そんなすごい人が私たちにはもう関わらないだろうな…と思っていた。


でも、私たちは彼とよく似ていたんだ……。



そう………



親のことが………。







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