《MUMEI》
番外編―同窓会X―
「せっ先生!?」
真希先生はにこりと微笑み、
「久しぶり」
と言った。

―その笑顔は、15年前の優しい笑顔のままだった。

「あっ先生‥どうぞ」
早紀が先生に駆け寄り、椅子に座るように促す。
「ありがとう。早紀」
そう言いつつ、先生は自分の後ろにいた10歳位の女の子をを座らせた。
「先生その子誰ですか?」
すかさずあいりが聞く。
「先生の二番目の子供よ。京都【みやこ】ご挨拶しなさい」
京都ちゃんは小さく頭を下げた。
大勢の大人にガン見されて、照れているのだろう。
「先生!一番目の子って、なんて名前ですか?」
今度は恵里奈が聞く。
「……ふふっ…湊よ。13歳」
先生が言うと、みんなが一斉に俺の方を向いた。
「な…なんだよ。歳的におかしいだろ?」
一応言うが、どうせみんな聞かない。
「…お前…先生の子供だったのか?」
横で凌一が言った。
(しゃべると酒臭いんだよ!寄るな!!)
俺はそう思いながら、凌一の顔面に手の甲をおもいっきりあてた。
「ブッ!!」
「うわっ汚ねぇ!!」
凌一は、口に入っていたビールを吐き出し、避けそこねた俺の手にかけた。
俺は必死に凌一の服で拭いた。

「‥おじちゃん‥どうぞ‥」
机の前から声がした。京都ちゃんがハンカチを差し出していた。
「おじちゃんじゃなくて、お兄さんよ」
と、先生が小声で言っているが、丸聞こえ。
俺は子供が好きだから、おもいっきり顔を歪ませて笑顔になった。
凌一が声を殺して笑っている。
(殺すぞてめぇ‥)
と、心の中で呟きながら京都ちゃんからハンカチを受け取り、「ありがとう」と微笑んだ。
「湊〜顔歪みすぎ〜」
悠羽里が言っているのを気にも止めずに、京都ちゃんの頭を撫でた。
嬉しそうにして、京都ちゃんは先生の元へかけていった。

「湊、ロリコンタイムはもういい?」
「ロリコンじゃねぇよ!チビ玉木」
「んだ?又バスケ勝負するか?負けるくせに」
玉木は自信満々そうに薄ら笑いを浮かべている。
そりゃ…確かに勝てないけど…。
「い…っ」
「はい!おしまい。今からやることあるんだから、自己チューは無しよ。二人とも」
せっかくやる気が出て来たのに早紀が割って入ってしまった。
「やること?」
俺と玉木が聞いた。

「うん♪このクラスの最後のレクリエーションをやろうと思ってるの。」
最後のレクリエーションとは……。
「…あの……最強鬼ごっこか?」
クラス中が早紀を見た。

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