《MUMEI》

「うん、…知ってた…」
「そっか、そうだよな…、だから隆志…女とも別れてたんか…」

なんか俺意地悪い…。裕斗が辛い思いしてる時に自分の恋優先してる…。





でも俺だって辛いから。





「うん…、ゴメンな…、全部俺が悪いんだ…隆志は被害者だから」





「つか意味分かんねーし、何?まさか裕斗が誘惑したっておち?」





裕斗は煙を吐き出すと灰皿に煙草を擦りつけた。




「はー、大正解、俺結構すれてるからさ…、落ちてるときに優しくされてついフラフラ〜っと?はは…、つか最低だろ、
マジでさ…、やべーよな、何してんだか自分でも良く分かんねーし…、最低だよ、本当」





「マジかよ…、つか、隆志どうすんだよ。アイツマジだぞ」




怒りは…感じない。




つか俺の知らないとこでいろんな事があったんだなって…。





落ちてる裕斗と、裕斗に性欲を感じてしまった隆志がたまたま抱き合っただけ…
そんな裕斗に隆志が惚れてしまっただけなんじゃないかって…。




きっとそんな…とこだろう。






「うん、ちゃんと話す…、ゴメンな…辛い思いさせて…、ゴメン…」





裕斗は俺の眼を見ながら、真剣に言ってくる。



「いや、ワリイ…、俺こそゴメン…、隆志はさ、俺が頑張って口説くからさ…、
だから裕斗は伊藤さんと別れちゃ駄目だ。
折角の恋、そんな理由で駄目にしたら、入院してる彼にも失礼だと思うし…。
俺だったら…分かんないけど好きな子がそんなんで自分選んだって知ったらスゲー嫌だしさ…。
つか今から素直に甘えて来いよ、会いたくて会いたくてしょーがねえんじゃねーの?
あとそいつの事ちゃんと伊藤さんに話とけ、お前言葉足りなすぎ」






裕斗はテーブルにくたっと突っ伏してしまった。



「いーの?俺伊藤さん好きなままでいーの?」





「馬鹿、下手に別れて寂しくなって隆志誘惑されたら俺敵わねーもん、別れたら承知しねーぞ、馬鹿」





裕斗の柔らかい髪を撫でてやる。




俺だって裕斗の仕草に何度かドキッとして抱いてみたいって思ったことあるし…。




ま…隆志は…、マジで落としてみるか。






俺も頑張る…。





「馬鹿に馬鹿って何度も言うなよー…
つか加藤に相談して良かった…、力抜けた…」




「また何でも言ってこいよ、だって俺達ダチだろ?…」





「うん…有難う」






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