貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
プロローグ
グシュ…ペチャ…グチュグチュ…


現在の『俺』が、今も鮮明に呼び起こす記憶。
真紅のルージュによって艶めかしさを醸す口が、潰すように貪り尽くす様…

無花果の、透明な汁はまるでリップグロスそのもので

大好物を幸せそうに食べている母親の笑顔

美味しさを誇示しているかのような、果実が発する音

それらを俺は 見てはいけない、知ってはいけない事のように見つめていた。

『アンタも食べる?』
『ううん、いらない』
『こんなにおいしいのに…』


日常の、どこの家庭でもごくありふれた光景
そんな健やかな中で、ある意味健全と言える《イヤラシサ》を頭に巡らせていた。

今考えると、性の目覚め いや、発芽したのはこの時なのだと思う。
愛に目覚めるのは、これからずっと先。


作品目次へ
無銘の作品を探す
無銘文庫TOPへ