《MUMEI》
評価
その先から、ゆっくり登場したのは見たことのない老人の姿。
会場の静かな反応からも、誰もその老人を知らないことは明らかである。
司会者は静まる会場を無視して、上機嫌に続けた。
「ご紹介いたしましょう。竹山直孝様でございます」
竹山という老人は会場に向けて軽く頭を下げた。
おそらく、すでに七十を越しているであろう竹山は、背筋をまっすぐ伸ばしてシワだらけだが威厳のある表情でカメラを一瞥した。

「何を隠そう、竹山様はこのプロジェクトの発案者でございます」
司会者のこの言葉に会場はどよめいた。
ユウゴもハッとした表情をして竹山を睨みつけた。
ユキナも鋭い視線を送っている。
「それでは、竹山様。台の上へどうぞ」
 司会者に促され、竹山はユウゴとユキナの正面に置かれた台の上に立った。
素早く竹山の前にスタンドマイクが置かれる。
「……最初に言っておきます」
低く、しわがれた声が響いた。
「私は、この二人を評価します」
会場が一瞬ざわついたが、すぐに静かになった。
「なぜなら、プロジェクトが始まって二十一年間、彼らのような参加者は今まで一人もいませんでした。彼らは勇敢です。たった三人で、警備隊たちを蹴散らした。じつに優秀だ。そうは思いませんか?」
段々と力が入る竹山の声が会場を包む。

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