《MUMEI》
ジャンヌダルクのように
「リカちゃんは、好きな人いないの?」
「はい。いません。」

「特定の彼氏がいないだけで、ボーイフレンドは、何人かいたりして。」

「私、そんな風に見えますか?」

「ううん。カマかけただけよ。リカちゃん若いのに口が重たくて、あんまり自分の事話さないから…。」

祐子さんは、きさくで、面倒見がいい。姉のように、私の事を気にかけてくれる。

「今日の映画、ちょっとヘビィーじゃなかったですか?私から誘っといてこんな事言うのも
何ですけど。」

「ジャンヌダルクね。火あぶりの場面でしょ?」

「あれは、壮絶で、泣けました。ジャンヌダルクは、本当に神の声が聞けたのでしょうか?」

「さぁ。どうかしら。」

「眼の前で、姉が殺されて犯されて、少女だったジャンヌは、受け止められなかったんですよ。トラウマですよね。」

「神を信じて純潔を守ることで、どうにか自分を保てたのよ。可哀想よね。十七歳で、処女のまま火あぶりなんてね。」

「そうですよね。でも、そんな生涯もいいかなぁ。」

「嘘。リカちゃんって、刹那的。」

「潔ぎのいい女って、私の憧れなんですよ。」

「リカちゃん何か過去に影有りかしら?」

「何もないですよ…。ねぇ祐子さん、複数の人と同時に付き合える人っているじゃないですか。器用ですよね。みんな愛せるなんて。」

「そうねぇ…。でもそれって、自分意外、誰も愛してないとも言えるかもよ。」

「えっ?」

「子供なのよ。自分だけ愛されていたいのよ。だから相手をくるくる替えるんだと思うわ。」

 祐子さんは、両手を顎の下に組んで、窓の外に視線を外しながらそう言った。
なにか身み覚えでもあるのかも知れない。

「なあに、リカちゃん彼に浮気でもされたの?」

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